NGV(Natural Gas Vehicle)ジャパン

天然ガスエネルギーの可能性

【LNG(液化天然ガス)運送が可能とする地方コミュニティのレジリエンス】

 現在過疎地では、暖房用の灯油や自動車用燃料としてガソリン・軽油などの事業では採算が取れず、厳しい経営状況のガソリンスタンドなどが増えています。それにより「灯油の配達回数が少なくなった。」「遠くまで車のガソリンを入れに行かなければいけなくなった」など、地域住民にとっても生活する上での支障も出てきました。また、さらに少子高齢化が進めば、状況は益々深刻になっていくと予想されます。
 そんな状況下に追い打ちをかけるように、地球温暖化により災害が激甚化しています。地震・強力な台風・局所的な大雨による災害により電力の基幹系統が切断され、停電被害が発生しています。
 そんな状況を打破できる可能性を秘めているのがLNG(液化天然ガス)です。LNGは天然ガスを液化して大量に貯蔵・運搬できるようにしたものです。輸送用エネルギーとして考えた場合、気動車(エンジン・燃料電池)や航空機(ガスタービン)の燃料としても有望です。このLNGタンクを地方に置けば、自動車用の燃料(LNG/CNG)・発電用燃料・暖房・調理といった地方のエネルギー需要を賄うことが可能です。地方によっては船舶に燃料を供給したり、冷凍倉庫用の冷媒として使用したり、コジェネレーション発電と組み合わせて熱を利用する事などの応用も可能です。単一の燃料では採算が合わないかもしれない、過疎地のエネルギーセキュリティを確保するという意味で有望と考えます。さらに、LNG供給設備ができると、これを拠点として地方の燃料供給のサテライトやトラック輸送のハブとして活用する事が出来、地方におけるレジリアンスな社会システムの構築が可能となります。
 また、災害などで万一系統からの電力が途絶えても、LNG発電機能がある地域であれば電力を供給し続けられるレジリエントなコミュニティとなります。エネルギー拠点を設けることは地域活性化につながると同時に災害などに強い<エネルギー分散型社会>を実現できます。
 現在、水素はLNGの主要構成要素であるメタンを分解して生産しています。水素は軽いので貯蔵、運搬が非効率ですが、現地で水素をLNGから生産する仕組みができれば将来の水素社会への架け橋の機能を持たせることが可能です。